胃捻転拡張症候群(GDV)の最近の知見①

2014年01月12日

胃捻転拡張症候群における論文で興味深いトピックをご紹介します。

①「インターネットを利用した調査による胃捻転拡張症候群のリスクについて」

☆有意にリスクを増加させる要因は・・・

・ドライフードの食事

・精神的に不安な要素がある。

・イギリスに住んでいる。

・1990年代生まれ。

・1日のうち5時間を飼い主と共に過ごしている。

・未避妊の雌が一番リスクが高かった。(今回の調査に限っての可能性あり。精査が必要と書かれていました。)

★リスクを下げる要因は・・・

・他の犬と遊ぶ。食後に庭を走る。

・魚・卵をご飯に付け加えている。

・家の中と家の外で過ごす時間が同じ位の割合である。

②胃捻転胃拡張症候群における初期治療として胃の減圧方法に関する二種類の方法の評価。

☆ 套管針を使った減圧方法と、口から胃までチューブを入れる方法について。

・チューブを使った方法は75,5%で減圧に成功。23,4%で失敗。

・套管針を使った方法は86%で減圧に成功。14%で失敗。

・どの方法を用いても医原性の胃の穿孔は見られなかった。

・套管針を使った方法では一匹が脾臓に裂傷があったが治療は必要無かった。

どちらの方法も合併症の可能性は低く手技の成功率は高い。胃捻転拡張症候群における胃の減圧の方法として許容できる。

○ネットをつかった調査は今までの知見と少し異なる部分もあります。住む場所や環境、犬種などによってそのリスクが異なる気がします。

特に未避妊の雌のリスクが高いというのは???今までの論文とは異なります。

○胃の減圧方法の二種類の評価に関しては、やはり有効なんだという印象です。当院ではチューブを入れさせてくれるワンちゃんはチューブを用いますが・・・実際は鎮静下あるいは麻酔下でないとうまくいかないことも。見切りを付けたら即留置針を用いて減圧します。(論文でいう套管針とほぼ同じ意味だと思って下さい。)

夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。

画像は今月の胃捻転拡張症候群のレントゲンです。犬種はミニチュア・ダックスフントでした。

<参考文献>

Pipan M, et al. An Internet-based survey of risk factors for surgical gastric dilatation-volvulus in dogs. J Am Vet Med Assoc. 2012 Jun 15; 240(12): 1456-62.

Goodrich ZJ, et al. Assessment of two methods of gastric decompression for the initial management of gastric dilatation-volvulus.
J Small Anim Pract. 2013 Feb;  54(2): 75-9.

中央の大きな○が拡張・捻転した胃です。

中央の大きな○が拡張・捻転した胃です。