胃捻転拡張症候群(GDV)の最近の知見②

2014年01月13日

前回の続きです。前回はこちら「胃捻転拡張症候群(GDV)の最近の知見①

常に様々な研究がなされています。今日までのスタンダードが明日から異なる事も珍しくありません。

このブログで書かれていることもいずれは古い情報となるでしょう。

胃捻転拡張症候群における論文で興味深いトピックをご紹介しますの第2回です。

①「犬の胃捻転拡張症候群にハイリスクな品種における食餌が関係している危険因子」

・一度に与える量が多い場合、回数に関係なく危険性の有意な上昇が見られた。

・1日1回多量の食餌を与える場合、大型犬と超大型犬では他の体型の犬に比べ危険性が最も高かった。


②「306匹の胃捻転拡張症候群の犬で術後の生存に影響している要因の後ろ向き研究」

・全体の死亡率は10%。術前の不整脈が死亡率を有意に上昇させる要因だった。

・術後死亡率は6,1%。術後不整脈と脾臓摘出術(部分的な胃の切除と同時に行った脾臓摘出術を含む)が死亡率を有意に上昇させる要因だった。

・全体の死亡率を有意に低下させた要因は病院に来院してから手術までにかかった時間であった。


個人的コメント・・・
○ 食餌に関して、1日1回の食餌しか与えてない方がみえます。特に大型犬で飼い主様の年齢が高い傾向にある印象です。

食餌回数を増やすだけでリスクを下げる事が出来るのであればそれに越したことは無いと思いました。

○死亡率に関して、不整脈の関与の影響は大きいようです。ということは、来院から手術までの時間。つまり迅速で素早い診断が不整脈や胃の壊死等の変化を防ぐことになるということです。と、言うことは、飼い主様も出来るだけ早く病院へ連れてくるとさらに良いですね。

詳しいメカニズム等はこちらからのシリーズを読んでください。「犬の胃捻転拡張症候群(いねんてんかくちょうしょうこうぐん)の原因と病態

胃捻転拡張症候群もやっと終わりです。読んでくれた方々お疲れ様です。

画像は胃捻転拡張症候群の胃の状態です。点々と赤く出血していることがわかります。

夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。

<参考文献>

Raghavan M, et al. Diet-related risk factors for gastric dilatation-volvulus in dogs of high-risk breeds. J Am Anim Hosp Assoc . 2004, 40[3]: 192-203

George Mackenzie, et al. A retrospective study of factors influencing survival following surgery for gastric dilatation-volvulus syndrome in 306 dogs. J Am Anim Hosp Assoc. 2010 Mar-Apr; 46(2): 97-102

胃の表面が赤く点々となっています。

胃の表面が赤く点々となっています。