タマネギ、ネギ中毒のメカニズム。(貧血になる仕組み。)

2014年03月14日

前回はタマネギ中毒・ネギ中毒の原因物質に関してのお話でした。

前回のブログはこちら「犬と猫のタマネギ、ネギ中毒について。(本当の原因物質とは?)

今回は、タマネギ中毒の原因物質が赤血球に対しどのように影響し貧血するのか?

を説明します。(これまた複雑ですので、斜め読みで良いと思います。)

★すごく簡単に表すと・・・「有機チオ硫酸化合物が赤血球に影響して貧血を起こします。」

もう少し詳しくすると、この有機チオ硫酸化合物は「「赤血球の中と赤血球の膜」の二つに影響します。

つまり、二つの経路により赤血球が傷害されます。

<赤血球の中(ハインツ小体)編>

①「有機チオ硫酸化合物」が赤血球に含まれるヘモグロビンを酸化する。

②その結果、「ハインツ小体」(酸化により作られた物)という小さな物質が作られる。

③「ハインツ小体」という変な物が赤血球にあるので、脾臓や肝臓や骨髄で捉えられてしまうか、マクロファージというお掃除屋さんに食べられてしまう。

④「ハインツ小体」がある赤血球が減ることになり貧血になる。

※ハインツ小体だけを脾臓や肝臓で取り除いてもらった赤血球も存在しますが、形が維持できなくなり血管内で破裂してしまいます。(血管内溶血→血色素尿)


<赤血球の膜編>

①「有機チオ硫酸化合物」が赤血球膜に含まれる蛋白を酸化する。

②膜が傷害され変な形の赤血球「Eccentrocyte」になってしまう。

③「Eccentrocyte」という変な赤血球は脾臓や肝臓や骨髄で捉えられてしまうか、マクロファージというお掃除屋さんに食べられてしまう。

④「Eccentrocyte」になってしまった赤血球が減ることになり貧血になる。

※変な形の所だけを脾臓や肝臓で取り除いてもらった赤血球も存在しますが、形が維持できなくなり血管内で破裂してしまいます。(血管内溶血→血色素尿)

ハインツ小体とEccentrocyte

ハインツ小体(左)とEccentrocyte(右)のイメージです。







できるだけ分かりやすくしたつもりですが、実際はかなりはしょってます。

国家試験の勉強みたいです。こんなんばっかですよ。あぁ。

画像は「ハインツ小体を保つ赤血球」と「Eccentrocyte」です。かりかり梅で再現しました。

撮影後はおいしく頂きました。次回に続く。

夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。