異嗜・異物。犬がボタン電池を食べた?(こんなん食べました。)

2012年11月02日

ボタン電池を食べてしまったかも。ボタン電池はどんな影響があるのか?

異物誤食の紹介です。(正確には食べたくて食べたので誤食では無く好食かもしれません。)

多くの犬や猫がいろいろな物を食べて病院に来られます。

レアケースです。画像をクリックしてみてください。全体像が確認できます。

体温計 誤食

体温計 誤食

見事に先端は残しつつ、本体までの細長いところがありません。

レントゲンでは中のコード(銅線)がばらばらになった状態で確認できました。

よく噛んで食べてくれたので粉々になっているようです。

経過観察を飼い主様にお願いして診察が終わりました。

ただ・・・今回のケースはある意味ラッキーです。何故ならば、本体側はそのままの形で残っていたので、ボタン電池や基盤は食べていないことになるからです。

ある文献によりますと・・・

「新品のコイン型リチウム電池を犬の食道に留置した実験では、15分後にびらんや潰瘍がみられ、組織学的には粘膜上皮変性、固有層結合織の変性、内筋層に至る凝固壊死が認められた。」

といった報告や、

「新品のボタン型水銀電池では8時間後に粘膜固有層から粘膜下層にかけて壊死が認められた。」

という報告が実際に出ています。

ボタン電池を舌で舐めるとビリビリ来ますよね。電流が局所的に強いアルカリ性の状態となり粘膜損傷が生ずるみたいです。

ボタン電池は要注意です!!!(だけじゃないけど。)

飼い主様の苦笑いが印象的でした。

参考文献

山下衛他:リチウム電池を犬食道に留置した場合の食道の組織学的変化.中毒研究10:218. 1997

斉藤重行他:低電圧直流電流による電気分解型アルカリ火傷.救急医学 8:755-759. 1984

夜間緊急対応 日曜祝日診察 日進市 アニウェル犬と猫の病院 渡邉でした。